この本の第6章に、ウルトラマラソンについて書かれたパートがあります。これを読んで以来、一度はウルトラマラソンを走ってみたいと思っていました。また、村上さんの著作ではないですが、今年になって「BORN TO RUN」と「Eat & RUN」の2冊のウルトラマラソン関連本を読んだのも、「走ってみたい気持ち」に拍車を掛けました。
さて、昨日がとうとう「その日」となりました。
レース開始は朝の4:30。
1:00には起き、ひとまずモチ4個とバナナ3本とたっぷりの水分を補給しました。その後、スタートまでにさらにモチ2個、バナナ3本、エネルギージェルを追加。これで事前の補給は万全(のつもり)です。
ただ、悪いことに台風が接近中で、会場に向かう途上ですでに雨。レース中も雨模様が予想されました。
春からずっと「猛暑日のレース」を想定して練習してきたのですが、天候には誰も逆らえません。雨、それも大雨の中を10時間以上も走った経験は一度もありませんが、とにかく雨対策をと頭を捻りました。
前半はそこそこのペースで走れることを予想し、雨でもいつもどおりのウェアで走ることに。
ただ、後半はペースダウンと悪天候による体温の低下を考え、念のために釣り用のレインウェア(ORのゴアテックスジャケットとシアトルソンブレロハット)をエイドステーションに預けておくことにしました。結果的に、これは大正解でした。
あっという間にスタート時間となり、長いレースの始まりです。適当に並んでいるとやや前のほうになってしまい、スタートロスは20-30秒程度だったと思います。
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0-10 km: 1h 00m
スタート時はまだ真っ暗でした。海岸線から標高150mほどに到る峠道があり、暗い中で調子を確かめながらの上り下り。走り始めの調子は悪くなく、むしろ気持ちが良いくらいでした。特に、下り道での加速は爽快でした。
スタート直後の混雑を避けるため、予定していたとおりに1-2番めのエイドステーションを通過。その代わりに、持参していた経口補水液を少しずつ補給して走り続けました。
10-20km: 56m
明るくなり、またコースが平坦なこともあって、この区間も気持ちよく走れました。
ちょっと(かなり)オーバーペースな気もしましたが、後半になればなるほど台風の影響が強くなることが予想されたので、なるべく前倒しで走ってみました。「タイムの貯金は体力の借金」と言いますが、台風への心配が勝ってしまいました。
3番め以降のエイドステーションはほぼ前回立ち寄り、フルーツやパンを毎回食べました。ただ、エイドで要した時間は他の人より概して短かったと思います。
20-30km: 58m
この区間も概ね平坦で、飛ばしてしまいました。
後半のことが心配されましたが、いかんせん初のウルトラマラソンなので、あまり良く考えずに引き続き同じペースで走り続けました。
30-40km: 1h 07m
はじめに走った峠道を今度は逆向きに。少しペースダウンしましたが、それでもレース前に予定指定していたのよりはずっと早い通過でした。
40-50km: 1h 10m
フルマラソンの距離を過ぎたあたりから、だんだんと脚に疲労感が出始めました。46km地点に設置された第一関門で少し長めの休息を取り、うどんをいただきましたが、コースに戻ってからも何となく調子が上がりません。
正直なところ、この区間から第二関門(56km)までが精神的に一番苦しく思いました。「台風直撃でレースが中止になってくれないか」とか、いろいろと下手な理由なども頭を巡り、肉体的な限界よりも先に、脳が「早くやめろ」という命令を出していたのか知れません。とにかくこの段階を早く通過し、「抜ける」瞬間を心待ちにして走り続けました。
50-60km: 1h 24m
第二関門に到着し、汗と雨でびしょ濡れのシャツと靴下を交換。さらに、着替えと一緒に預けていたサロメチールを脚に念入りに塗り込み、エイドでフルーツとちらし寿司を食べました。ここで気分が一気にリフレッシュし、走る気持ちが漲ってきました。
区間ラップタイムはそれほどでもありませんが、エイドでのロスタイムを除くとなかなかのペースで走れていたと思います。なにより気力が回復したのが大きかったと思います。
60-70km: 1h 40m
この区間では、コース最大の難所、400mの山登りが迎えていました。坂道対策の練習はそれなりにこなしたつもりだったのですが、現実には走り切れるような勾配ではなく、歩きを混ぜながら進むことになってしまいました。
70-80km: 1h 27m
息も絶え絶えで山頂近くの第三関門に到着しました。再度サロメチールを脚に塗り込み、預けていた雨具と帽子を手にして再出発。さすがに山頂なので気温も低く、少しの休息中にも体が一気に冷えてしまいました。
関門の後は下り坂ですが、スピードを上げると脚を制御できなくなるので極端に速くは走れません。太ももに疲労が蓄積し、下り切ったところで脚は完全に言うことを聞かないようになっていました。
80-90km: 1h 34m
このあたりになるとあまり記憶が定かではありません。第四関門に到着し、大雨の中、パンやフルーツやスープを胃に入れました。その後も暴風雨となる時が度々あり、ゴアテックスの雨具を準備していて本当にたすかりました。
もうスピードを出す余裕は全く残っていませんでしたが、とにかく前へ前へと進みました。走り続ける脚は残っておらず、大半は歩きを交えながらでしたが。
ただ、夏場の暑い時期に、「疲れ切った段階でも、早足で歩いて前へ進む」ための練習と覚悟をしていたこともあり、歩くペースそのものは速かったと思います。ガンガンと走り続ける人には何人も抜かれていきましたが、疲労してゆっくりと走っている人は何人も抜きました。
90-100km: 1h 34m (Total =100km: 12h 51m 43s gross)
残り10kmとなったあたりで、普段走っているご近所のコースに想像が及び、ゴールまでの距離を日常的なものとして認識できるようになりました。
プランAとして目標にしていた12時間切りはかなり前に不可能となっていましたが、プランBとしていた13時間以内での完走を確信しました。ただ、ゴールの前に左目のコンタクトを失くしてしまい、少し往生してしまいました。
ゴールは風雨の強まる夕暮れの中。ゲートをくぐってホッとしました。長い長いレースと、私の夏が終りました。
悪天候の中、多くの関係者やボランティアの方々には大変お世話になりました。すぐ後に特別警報が出るような条件のもと、運営には相当なご苦労があったことと思います。気持ちよく参加させていただきました。どうもありがとうございました。
また、沿道の方々の心温かい声援には、その都度できるかぎり口に出してお礼を述べるように心掛けてましたが、表情には全く余裕がなかったかも知れません。心より感謝しながら走っておりました。本当にありがとうございました。
最後に。(釣りを含めて)私の趣味には皆目無関心かつ不干渉を決め込みながらも、せっかくの三連休に快く送り出してくれた家族にも感謝しております。
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<その他、気付いたことなどのメモ>
・フルマラソンとは別物
本格的なウルトラランナーの皆さんの体付き、特に脚の筋肉の付き方は別格でした。細いのに筋肉質で、同じ人間の脚とは思えないくらいでした。加えて、ト ライアスロンや自転車競技をやっているような人々もチラホラと。こちらの方々は太ももとふくらはぎが立派で、グイグイと前へ進む感じの走り。いずれにしても、私自身は完全に見劣りする体格です。
ウルトラマラソンはフルマラソンの延長にあるものではなく、どうやら別の競技と思ってトレーニングすべき種類のもののように感じました。自分のフルマラソ ンの持ちタイムから考えても、ウルトラマラソンの持久係数は大幅に過大で、どうやら私には比較的不向きな競技のようです(これは練習中にも痛感していましたが)。
・疲労感
今回は流石に痛い目に遭っています。脛、ふくらはぎ、太もも全体の筋肉が張っており、特に階段の上り下りが不自由です。今日も休日だったので散歩などでできる限り体を動かして積極的休養に努めました。痛みが何日後まで続くか要観察です。
足のマメは軽症で済み、これは5本指ソックスのお陰だと感じています。冠水した路面や水溜りも多く、靴の中がほとんど水に浸かった状態で走り続けたにも関わらず、大きなマメができなかったのは幸いでした。
・胃腸は問題なし
各エイドでも、走りながらでも、ずっと固形物を食べることができました。ただ、持ち込んだ「バナナ味の豆乳」を飲んだ後は少し胃がキリキリし、胃を押さえながら走る羽目になりましたが。
レース後も恐ろしいほどの空腹感に襲われ、帰宅途上で釜揚げうどん3玉、かしわ天、ちくわ天を平らげました。マラソン中やその後に胃腸の調子が悪くなる人が多いと聞きますが、私は丈夫なようです。
・今後の方向性
初めてハーフやフルを走った直後も同じように感じましたが、今回も「二度ト御免コウムリタイ」と思いました。ただ、翌日にはジワジワと自己更新の念が沸いてきているのは確かです。あれほど辛い経験をしたのにもかかわらずです。今後の方向性は難しいところですが、今年はあと2レース(ともにフル)にエント リーしているので、それらが終ってからでもじっくりと考えることにします。
・装備品など
インプレは後日。今回準備したものは、概ねどれも良いものばかりでした。
以上、まだ「ランニングハイ」状態が続いているのか、やたらと長いものになってしまいました。
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